東海銀杏会通信


会報誌「東海銀杏会通信」は、基本的に2月と7月の年2回、発行しています。


発行日:H19.7.20
発行人:東海銀杏会 編集人:角田 牛夫
東海銀杏会通信 No.21

目次

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幹事 原野 素雄(S46工) 平成19年度 総会報告

東海銀杏会の平成19年度総会は、3月26日(月)に名古屋マリオットアソシアホテルで開催されました。総会に先立ち、午後4時30分から17階「桐の間」で役員会が開かれ、16名が出席されました。清水順二事務局長から総会、講演会と懇親会の次第について説明があった後、今年度の役員体制について話し合い、総会で報告することを確認しました。

■総会

総会は16階の「サルビアの間」で長谷川e曼代表幹事の司会により、午後5時から始まりました。議長に内藤明人会長を選出、第1号議案「平成18年度活動報告ならびに会計報告」が猪子恭秀会計幹事、高岡次郎監事により行われました。第2号議案「平成19年度役員体制について」、第3号議案「平成19年度活動計画並びに予算の件」は清水事務局長がそれぞれ説明し、いずれも満場一致で承認されました。

■講演会

総会に引き続き「サルビアの間」で講演会が行われました。例年、開始時間が早くて出席しにくいとの声もあり、今年は1時間遅れの午後5時30分からにしました。約70名が出席、講演Tは「東海経済 八つの試練」と題して、日本銀行名古屋支店長・小山高史氏(S49養)が講演されました。今、東海地方が元気といわれていますが、その東海経済が直面する試練についてやさしく解説していただきました(詳細は3ページ以下に掲載)。講演Uは「東京大学130周年記念事業〜その狙いと概要」と題して、東京大学総長室顧問・池上久雄氏が講演されました。東京大学は創立130周年を迎えますが、国立大学から法人へと変わったことで、新しい大学の運営が求められており、これに対する現状の報告がありました(詳細は以下に掲載)。

■懇親会

盛りだくさんの講演会も定刻に終了し、午後7時から同じ16階の「アイリスの間」で懇親会が始まりました。内藤会長の開会挨拶に続いて来賓の紹介がありました。来賓は講演をされました、池上・東京大学総長室顧問、小山・日本銀行名古屋支店長両氏に、東京銀杏会会長・石原信雄氏と関西東大会幹事・北村淳一郎氏を加えた4名で、池上、石原、北村各氏に挨拶をしていただいた後、小山支店長の発声で乾杯し、テーブルごとの歓談に移りました。

例年通り各テーブルで自己紹介を行うなど、出席された皆さんが和気藹々と懇親を図っておられました。今回は試みとして、コンパニオンを入れませんでしたが、一部に不便があったらしいものの、おおむね円滑な運営が出来たのではないかと思います。

午後8時40分、恒例の「ただ一つ」の合唱が始まり、元応援団長・本田信浄幹事のリードで、元気よく声を張り上げました。閉会の挨拶は浅野晴彦代表幹事が行いました。

例年、有志が参加して17階「桐の間」で開いていた二次会は、懇親会への出席をしやすくするため開始時間を遅くしたこともあり、今年は取り止めて、若干名の幹事とお世話いただいた皆さんだけで、15階にあるラウンジでコーヒーを飲みながら懇談し、帰宅の途につきました。

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開会挨拶をする内藤会長

にこやかに来賓挨拶をする池上総長室顧問

乾杯の音頭をとられた小山支店長

来賓挨拶をする石原東京銀杏会会長

ちょっとスマして… バッチリカメラ目線です

飲食忘れて?懐旧談ですか

どれもこれもおいしそうで…

飲んでもメモ忘れず…ご立派

食べて、飲んで、議論して…お若いです

さすが若者。テーブル上は残りわずか

紅4点、華やかすぎます

ほんのり、ニッコリ…目線も和んで

まさかお説教じゃないでしょうネ

だいぶお話が弾んでいるようで

ひそひそ話めいて 楽しそうですが…

飲みかつ食らい…元気さが伝わってきますネ


日本銀行名古屋支店長
小山 高史(S49養)
東海銀杏会 平成19年度 春の講演 I
東海経済 八つの試練

私は4年間駒場にいて、教養学科の国際関係論分科を出ています。その前に、駒場東邦という駒場にある中学、高校に6年通いましたから、あの駒場によく10年もいたと、褒められています。1970年に大学に入りましたが入学式はなく、74年に卒業しましたが卒業式もなく、大学紛争の後遺症のおかげで、大学への愛着が生まれにくい大学生活を送りました。

さて、今回お配りした表題は「東海経済八つの試練」となっています。当初は「七つの試練」だったのですが、部下に「名古屋なんだから、八つにしないとだめですよ」と言われて(笑)、「まあいいや、一つぐらい考えよう」と八つにしました。

◆世界経済は5%成長を続け、原燃料高が定着

日本経済・世界経済の話は、省略させていただきますが、一つだけ申し上げておきたい点がございます。それは、世界経済は2007年に5%程度の高い成長を続ける見通しだということです。これが実現しますと、ほぼ5年にわたって5%程度の成長が続き、足し算では25%伸びるわけです。こういう高成長が長く続く局面では、必ず原材料や燃料の需給に大きな影響が出ます。原材料価格、燃料価格の水準が大幅に上がって、大きく動いています。

思い起こしていただきたいことがあります。黄金の1960年代から次の1970年代にかけて、非常に好調な時期が続いた結果、第一次石油危機が起きました。それと同じような局面に我々がいるということです。

◆30億人が一斉に工業化、製品安の定着

しかも、この地球で30億人もの人々が一斉に工業化し生産を増やすと同時に、それを背景として急速に需要を拡大させているという、人類史上かつてない局面に入っています。この30億人が生み出す新たな需要や生産の大きさを、念頭に置いておく必要があります。中国の(16億人とも言われていますが)公称13億人、インドの公称11億人、ロシアの3億人、これらを足していきますと、少なく見積もっても、30億人の人たちが一斉に工業化し、経済を発展させているということです。

かつて、先進国の工業化には時間差があり、しかも、人口は大したことではありませんでした。今のヨーロッパに5億人、アメリカに3億人、日本に1億人ですから、足しても10億人程度が時間差をもって工業化したに過ぎません。そういう局面に比べると、我々は今回、歴史的に大変な局面に入っていると考えられます。

この30億人が一斉に廉価な工業製品をつくり出しますので、安い価格のものが市場にあふれ、製品安になります。この原料高、製品安という新しい局面は、世界で景気拡大が続く過程で、これからも続くと予想されるというのが、非常に大切な意味合いだと思います。

◆東海経済に三つの強さ

以上を申し上げた上で、本題である東海経済についての話に移ります。着任以来半年間、当地経済の強さを日々体感しています。当地の皆さんからは褒め言葉は少なめに、と言われるんですが、やはり褒めざるを得ません。褒める要素はさまざまありますが、根底にあるのは三つの要素だと考えています。

一つは、この地区から、次は世界を視野に入れるという、志や戦略の大きさだろうと思います。大企業だけでなく、中小企業に至るまで、そういった戦略を持っている強さがあります。志の高さは、米国のシリコンバレーなどとも共通しています。シリコンバレーのベンチャー経営者と話をすると、どんな小さな製品、どんな細かなソフトウエアでも、世界制覇をするんだという意気込みで仕事をしているのに驚かされます。そんな高い志が、シリコンバレーと東海経済には共通していると思います。

二番目は、現場の革新力の強さです。現場から内発的に上がってくる実践的な革新力の強さです。地に足のついた技術力であり、組織運営力であり、工場の運営力であり、それらが、たゆまず進歩している強さがあります。

三番目は、慢心しない堅実さです。バブルに躍らなったことがその一例です。また、現在のような円安の局面においても、いつか円高が来ることを展望して慎重な対応をされています。このような事例は枚挙にいとまがありません。堅実さが深く広く根付いているところに、本当の強さがあります。

◆東海経済に八つの課題

当地の皆様からは、そうした強さはあるにしても、むしろ課題も多いだろうから、それを挙げてくれた方が有益だと、しばしば言われます。そこで、応援の意味を込めて、以下のような問題提起をさせていただきたいと思います。課題は、八つ程度に整理できると考えます。いずれも、当地経済や世界経済の良好さが、それ故に直接的・間接的な帰結としてもたらしている課題です。

八つの課題を、密接に関連しているものを適宜組み合わせて説明申し上げます。

◆1 3〜5年は新価格体系(原料高、製品安)のもとで板挟み

第一は、世界経済の持続的成長がもたらす新価格体系(原料高、製品安)のもとで、東海経済がどう対応していくかです。特に、板挟みが顕著な中小企業がどう対応していくかです。

一次産品の専門家は、原料高が恐らく今後3年から5年は変わらないだろうと言っています。価格が上がっていますので、これから供給は増える筋合いにありますが、資源開発投資が実を結んで本格的な供給増につながるまでには、時間がかかりそうです。3年から5年は、高い価格体系があまり変わらないだろうと予想されます。一方で、製品は30億人が安い労働コストでつくっています。今後30億人の賃金が上がり始めても、彼らの生産性の伸びも高いので、製品価格は上がりにくいと予想されます。この原料高、製品安の板挟みになっている企業群が最近増えています。輸出に牽引されて経済が好調な東海経済で、特に顕著に見られるようになりました。

ちなみに、管内3県の短観調査における業況判断の数字(「良い」の答えから「悪い」の答えを引いたパーセント・ポイント)を見てみます。最近の調査結果(2006年12月)によれば、製造業全体としては18ポイントと非常に高いレベルです。中でも大企業は35ポイントですから、多くの企業が「良い」と答えています。一方、中小企業は4ポイントとなっていて、中小企業には「良い」と答える企業はほとんどないという状態です。中小企業では、3月が18、6月が11、9月が6となっていて、「良い」と答える企業が右肩下がりに減ってきたというのが実情です。景気の拡大が定着する中で、なぜこういうことが起きたのかというと、この答えは、収益にありました。

◆大企業は増益、中小は減益

利益計画、つまり利益の予想について、経常利益を見ると、2006年度は製造業全体では+23.6%で、内訳は大企業+24.8%、中小企業-16.6%となっています。大企業が2割を超える増益を見込んでいる中で、中小企業は減益になることがはっきりしました。全国ベースでは中小企業も増益ですが、全国の景気の先頭に立っている東海経済で、中小企業の減益という事象が起きているところに大きな意味があると考えられます。

原因は、原材料高、製品安の板挟みになっているということです。主力の自動車産業あるいは電機産業に連なる裾野企業などで、一次、二次、三次と下におりればおりるほど、製品価格が上げられないのに、原材料価格が上がるという板挟みの状況が強まっているのです。

そして、世界景気が拡大すればするほど、この板挟み状況は定着する可能性が高いと予想されます。したがって、ここから抜け出す方策を考えないと、中小企業は減益基調の中からなかなか浮かび上がれないということです。数量が増えていれば量産効果で賄えるかもしれません。一方、それが難しい場合には、新たな製品、新たな分野に出ていくことや付加価値の高いものに生産を切りかえていくという努力が、これまで以上に必要になってきます。東海経済の力をもってすれば、乗り越えられるはずだと思いますが、世界経済が好調であるが故に、こういう状況が今後も続くというのが大きな課題だと思います。

◆2 地域ごとの濃淡:景気、問題克服

第二は、大企業、中小企業の格差、濃淡ばかりでなく、地域間の濃淡や企業間の濃淡が大きくなってきて、これにどう対応していくかが問われています。

最近とりわけはっきりしてきたのが、地域ごとの濃淡です。地域によって、活況、不況の差が出ています。地域の差を均らすメカニズムに着目すると、田中角栄さんが現れる前の時代に戻ったと考えられます。と言いますのは、この10年、財政が所得再分配の機能を非常に小さくするということが起きて、その結果、地域ごとの地力の差が、歴然と表面化してきています。

さらに、景気が良い地域に景気の悪い地域から労働力が流出しています。角栄さんの前の時代は集団就職という格好でしたが、今は人材派遣会社が全国各地にリクルートに行くという方式になっています。その結果、労働力が流出した地域では、地域の振興が一層難しくなっています。すなわち、地域ごとの問題克服力にも濃淡が出てきているのが現状です。

もう一つ、消費活動についても濃淡が出てきます。なぜなら、行動力のある方や資産家の方は、交通網が発達すると、どんどん魅力的な遠隔地に出かけて行って買い物をすることになります。

私は長野県上田市の生まれですので、上田市の例を申し上げます。上田市に新幹線が開通したら、上田市のミニ資産家の奥様方はこぞって、週末に東京のデパートへ買い物に行くようになり、週末の新幹線は、デパートの買い物袋を抱えた奥さん方でいっぱいの状況になっています。結局、一番購買力のある人が、中心地に出ていってしまうということが起きています。

当地でも多かれ少なかれ同様の事象が起きていると思われます。名古屋には新しい商業施設が続々と建っていますが、岐阜や津、四日市、桑名のデパートや商店街は苦戦をしているようです。全国各地でこういったことが起きています。

◆地方の潜在力を如何に高めるか

働ける人、そして行動力のある人が、雇用機会のある、あるいは魅力ある地域へ出ていくため、送り出す地域に残っている潜在力が弱くなってきている可能性があります。ハンディを抱えながら、どうやってこの問題を解決していくのか。大いに知恵が求められるところです。

特に東海地域は、移住を伴わない通勤圏の拡大という形で、地域の労働力が活用されると同時に、購買力をもった地域が拡大していますので、問題解決はやりやすい方だと思われます。名古屋周辺の都市、自治体、地域がどういう対応を示していくかによっては、日本のお手本になり得るのではないかと思います。

私どもの日銀名古屋支店に勤めている地元職員に話を聞きますと、残念なことに、勤務帰りに名駅のデパ地下で買って帰ると言う人が多く、地元の桑名とか四日市、岐阜で夕方の買い物をする人はほとんどいないということです。このように、通勤の人も中心地志向だとすると、地元での消費回復はなかなか難しいとは思いますが、何らかの解決策はあると思います。

新たな明るい事例もあります。例えば、交通の便の良さを活用して、生活者を集めるという工夫です。岐阜の駅前に43階建てのマンションが建ち、大半を多くの地元の資産家、特に年配の資産家が買われたということでした。医療設備や商業設備が入っており、便利で安心です。東京まで雨にぬれないで行けるというメリットもあります。孫も雨にぬれないで東京から来られるということです。将来を展望して買われたのでしょう。岐阜は名古屋から一番速い快速だと17分ですから、そういった利便性に着目した新たな工夫だと思います。

ただし、こういう答えがすべての地域に当てはまるわけではなく、どういう回答を見出していくかは、東海経済の一つの仕事です。財政による再配分にあまり期待ができない中で、どんな回答を見つけていくのでしょうか。

◆3 富士山型からアルプス型へ

第三の課題は、自動車産業への依存を低め、多様化を図ることです。当地経済が自動車産業への依存度の高いことは、強みであると同時に、弱点でもあります。そこで、富士山型の産業構造から、アルプス型に変えていくべきだという議論は、既に各方面から提起されています。この依存度を下げて多様化する方策については、多くの選択肢があると考えられます。

現実から学ぶのが早道かと思います。一つは、行政主体で新しい産業を呼び込んでくる、つまり三重県的な方策、シャープや富士通や東芝を引っ張ってきたようなやり方があります。

二つ目は、自発的に起業する新しい新興企業を支えていくというアプローチがあります。当地で事業を興す人にとっては、自動車産業をはじめとする当地の有力企業に関連する事業を興した方が確実で、いきなり新しい産業を興すのは大変難しいと思います。しかし、意欲のある人が新しいノウハウを持ち込むことができるはずです。歴史を振り返ると、当地の最有力企業群にしても、最初は何もないところからベンチャー企業としてスタートしたわけです。今後、新たな企業家をどのように地元としてサポートしていくのか、工夫を重ねていかれれば、前に進んでいくと思います。

◆4 大事な裾野企業の競争力強化

三つ目の選択肢は、裾野に連なる企業群が、他の産業にも頼りにされるような広い意味での世界的競争力をつけることです。よく言われる話として、トヨタが世界一になる際に、「それでは、トヨタに連なる裾野企業は世界一なのか」という問いかけがなされます。トヨタに納入するだけではなくて、ほかのさまざまな産業にも納入できるような形で、自分の競争力を広げていくという可能性は、大いにあると思います。中・長期的な東海経済の成長力を考えると、そうした裾野企業の競争力、裾野の拡大強化は、非常に大事なことではないかと思います。

◆雇用を見直す元年、内なる国際化の元年

第五の「企業と雇用」と第六の「内なる国際化」はともに雇用に関係する課題です。内なる国際化とは、外国人をどうすれば円滑に企業、社会に受け入れることができるかという話です。

第五の課題である「企業と雇用」については、個人的な見解ですが、今年は企業が雇用を見直す、いわゆる元年になるのではないかと考えています。これまで、景気の調整弁として、緊急避難的に雇用を位置づけてきた動きが、この10数年続いてきましたが、現在、私どもの経済は、安定的な経済成長の経路に復帰しました。そういう中で、いつまでも雇用に不確実性を押しつけていていいのかという問題提起がなされるわけです。

◆5 企業と雇用:雇用形態見直しの契機に

非正規の労働力では技術の継承が難しいという話がしばしば聞かれます。また、企業展開を図っていく上で、非正規の方に依存していて、本当に中・長期的、根本的な成長力、競争力が高められないのではないかとの疑問も聞かれます。当地の経営者の方々が自問されているようです。企業の根幹たる人材を育てるという観点から、企業にとって適切な雇用の形態は何なのかを見直しする、一つの重要な契機だと思います。今後を展望した場合に、人材が企業の現場力、技術力、経営力、ひいては成長力の基盤であるとするならば、こうした点について、見直しがあってしかるべきでしょう。

個人が不確実性を負う力、あるいは世の中の変化に対応する力と、企業が不確実性を負う力、世の中の変化に対応する力を考えた場合に、個人よりは組織の方が懐が大きいと考えるのが自然だと思います。これに対して、過去10年間は、雇用を調整弁にしたのですが、今後は、企業が組織の対応力を磨いて不確実性に対応するという方向が出てきてもしかるべきと思われます。

非正規の雇用では、その家計のマインドが安定化しにくいということが続いています。雇用が不安定なうえ、収入もさほど伸びないという中で、消費の増加テンポが不安定になっています。企業サイドにおいても、経営上、無理をして正規化するということではなく、前向きに正規化していくという選択肢はあると思います。それによって、働く方でも安心感を持って、将来の生活・消費に対する展望を持って働けるという状況が生まれてくるよう期待しています。

◆6 内なる国際化:外国人労働受け入れへの対応

次は外国人の労働力に関してです。人が働く時間は8時間で、残り16時間は社会生活を営むわけです。外国人を雇用するのは企業ですが、地域社会は16時間お付き合いすることになります。したがって、今後、いかに我々の社会、経済の中で適切に暮らしてもらうかは、大きな課題だと思います。日系ブラジル人の3分の2は、東海3県と静岡県を含めた4県に住んでいるそうです。このように、外国人の比率が高くなっている点でも、当地区は先頭を走っており、早目に対応を考えていく必要があります。

ヨーロッパやアメリカを見てもわかりますが、違った国、文化の方が入ってくれば、摩擦が起きるのは当たり前です。問題は、その摩擦を如何に小さくして、この社会に溶け込んでもらうかという工夫にあるわけです。我々がそうした工夫を十分にしているかというと、答えは「ノー」だと思います。全く不十分な対応しかしていないのではないかと自省するところです。一般的な日本人の場合、理解してもらうための工夫を余りせず我慢していることが多く、不満が溜まって爆発するということが少なくありません。これは、異なった文化の人と付き合う上で、最悪のやり方ですから、その前に工夫や努力が必要となります。

摩擦が発生する代表例は、ゴミと教育です。

まず、ゴミについてです。私も名古屋に参りまして、ゴミ出しの日は最も頭が痛い日で、朝から悩みつつゴミを整理しています。東京から来た人間にも難しいことを、外国人に本当に教えているのか、理解してもらうためにどのくらい努力しているのか、については疑問があります。名古屋のゴミ袋には、燃えるごみ、燃えないごみという言葉が、親切に6カ国語で書かれています。確かに立派な工夫だと思いますが、何が燃えるゴミで何が燃えないゴミかという定義は書いてないのです。ですから、私は、このゴミはどっちに入れたらいいのかといつも悩んで、手引を開いて苦労しながら分別しています。外国から来た方は、もっと苦労しているのではないでしょうか。外国語の手引はあるのでしょうか。

もう一つ大事なのは教育です。私も様々な国で外国人として居住しました。アメリカでは、外国人の子供に対して、先生がついて無料で英語の教育をしてくれます。日本の場合、言葉の教育だけ、別に先生をつけるということは、まだできていないと思います。こうした面で、我々はまだまだ足りない面があるのではないでしょうか。

◆企業こそがイニチアシブを

ここで是非注意していただきたい点は、外国人を招請するのは企業であるという点です。招請のイニシアチブを持っている企業が、働き方を教えると同時に、住み方も教えていただくのが最善だと思います。少なくとも、ゴミの出し方とか教育の受け方とか、そういった点について説明や補習トレーニングがあってしかるべきだと思います。安い労働力で収益を上げるだけで事足れりとせず、付随するコストも含めて、企業が対応するのが筋ではないかと思います。

一方、地域住民や行政、自治体にしてみれば、突然、隣に外国人が来てしまったということになります。地域住民に対して、企業側から前もって知らせることも少ないようです。自治体も、税収が上がる前に外国人が増えるわけですから、悩みが大きいと思います。ですから、やはり企業が最初に行動を起こすべきではないかと思います。

◆7 高齢者も使えるIT器具やITサービスを

第七は「少子高齢化社会への対応」です。将来は通常不確実なものですが、世の中には確実なことも幾つかあって、少子高齢化は数少ない確実なことの一つです。間違いなくやってくることですので、準備や対応は比較的容易なはずです。しかし、それができていないのが日本の現状ではないでしょうか。東海地区も例外ではありません。

ITの活用を代表例として申し上げます。高齢者こそ、物理的な移動が少なくて済むITの活用から得られる恩恵が大きいはずです。しかし、実際には、IT器具やITサービスは、高齢者には使いにくいものが大半です。パソコン一つとっても、どうして我々はアルファベットでパソコンに入力しなければいけないのでしょうか。私が使い始めて20年以上になりますが、いまだに改良されていません。父親、母親にパソコンを使わせようと努力しても、絶対にさわってくれません。高齢の方にさわっていただかないと、ITあるいは通信の進化の恩恵は行き渡らないわけです。体が動かない人こそ、ITから得られる恩恵は大きいわけですが、パソコンが使えないため、なかなか浸透しないという事情があります。

高知の支店長をやっていたときに、山間地の医療を調べたことがあります。医師が往診するのに、山間地ですと1日に3軒程度しか回れませんが、コンピューターでデータを送信して診察できれば、10倍の人を診ることができるかもしれません。また、高齢者の不安も、実際に医師のところに出向かなくても、コンピューターを通じてデータを送信して相談することで解消されることが多いわけですが、なかなかITを活用した遠隔地医療が本格運用できていません。

企業の方にお願いしたいのは、是非、高齢者に適した器具やサービスの提供に取り組んでいただきたいということです。今は65歳以上の方が2,500万人ですが、5年ごとに500万人ずつぐらい増えていきますから、非常に大きな市場になることが確実です。こうした潜在ニーズにこたえる商品やサービスが出てこないというのは、むしろ不思議なことです。潜在ニーズに応えるものが出てこないことが消費自体を抑え込んでいるという面があります。また、高齢者やITを使えない方のために、余分な民間サービスや行政サービスをしなければならず、いろいろなコストがかかっているとすれば、日本社会全体の生産性を抑え、日本経済の発展を阻害しているとも言えるわけです。東海地域は、工夫、改善という面では世界で最も競争力があるわけですから、是非とも少子高齢化に対応するさまざまな工夫を発信していただきたく希望します。

◆8 金融機関の潜在活力を

最後の第八は「金融サービスの支援力」です。当地では、製造業が世界最強の働きをしている一方で、金融機関が十分に活用されていないという特徴があります。結論を先取りして、皆さんへの要望を申し上げれば、個人あるいは企業として、金融機関に要望をどんどんぶつけていただきたいということです。それに対して金融機関が工夫を進めることを通じて、皆さんに対する金融機関の支援力が高まることになります。

当地の金融機関は非常に低い金利で皆さんに資金を貸しています。46都道府県を比べると、金利水準は愛知県が最低で、次いで三重、岐阜が2位、3位、4位あたりを争っています。これは借りる方にとってはありがたいことだろうと思います。一方で、預金金利は全国並み、あるいは少し高めのものを提供していますから、金融機関にとっての利ざやは非常に小さいのです。それだけでなく、当地の金融環境は、アメリカよりも、恐らく世界でも最も厳しいのです。アメリカですと、上場すれば銀行借り入れは減るわけですが、それでも銀行借り入れに、それなりの役割を認めています。つまり、全部が資本性の資金調達だけでは、事業のリスクの特性に合っていませんので、むしろ、そこに金融機関からの借り入れの役割があるということで、借り入れも活用しています。しかし、当地の企業は、無借金経営の大企業が多いうえ、中小企業でも無借金経営を経営目標に入れておられるところが多いのが実情で、これでは金融業を生かすことにはなりにくいわけです。

皆さんに申し上げたいのは、金融機関は単純な貸し出しだけが仕事ではありません。皆さん方の事業承継のお手伝いはもちろん、プロジェクトに合ったファイナンスの仕方を提案するなどの力を潜在的に持っています。そういう課題を是非ぶつけていただきたいのです。

つまり、金融機関の潜在力を大いに活用していただければと思います。貸し出し資金に関することだけではなくて、例えば、事業のネットワークを広げるための情報が欲しいとか、技術に関する情報を調べてこいとか、会計や内部監査に関して助言を欲しいとか、言っていただければ、できることが数多くあると思います。その金融機関自身ではできないこともありますが、その場合には、金融機関が専門の先を紹介するということもできるはずです。東海経済の場合、貸し出し金利が安いということで金融機関を使ってもらっていますが、今後はサービスの内容も活用してもらうことを通じて、東海経済の成長にさらに役立っていくものと考えています。

◆むすびに代えて:応援歌

以上、元気な東海経済が成功している過程で、気づきにくい形で発生している課題を、八つの試練と題して、問題提起をさせていただきました。もとより、これは応援歌です。工夫やアイデアの豊かな東海経済ですから、こうした課題を克服していくと信じております。また、それを通じて、東海経済から日本経済に対して、問題解決の糸口を見せていただけたらありがたいとの強い希望を込めて、お話を申し上げました。当地経済のさらなる発展を大いに期待いたします。

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囲碁同好会 三木会
三木会入会のご案内

初心者から高段者まで楽しめる会をめざして

東海銀杏会の囲碁同好会・三木会(さんもくかい)は、毎月1回の例会を土曜日の午後1時から午後5時まで、名古屋市中区栄にある囲碁サロン「烏鷺朋」(うろとも)にて行っています。 

開催日は、会場の都合などもあり、第2、3、4土曜日のいずれかです。例会当日は、会場の烏鷺朋を貸し切り、その時間は全面禁煙です。  

腕自慢の高段者の方も来られていますので、有段者の方も良い対局相手に出会うことができますし、初心者、中級者の方も実力をつけることができます。

毎月の例会のご案内を、メール、ファックス、郵便で差し上げています。

参加を希望される方は、事務局(猪子・S57法卒、TEL.052-842-2111)までご連絡ください。

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昨年末の忘年例会


東京大学総長室顧問
池上 久雄
東海銀杏会 平成19年度 春の講演 II
東京大学130周年記念事業 〜その狙いと概要〜

2年前の東海銀杏会総会にお呼びいただき、法人化直後の大学の緊張した状況と同時に、民間から入った、ただ1人の理事ということで、大学の業務の効率化とか、卒業生との連携というようなことを話させていただいた覚えがございます。

法人化した大学がどんなふうに変わろうとしているかとか、国からの交付金がだんだん減っていくと言われていましたので、外部のマッキンゼーを使った業務分析による合理化を行っていくなどと話したことを覚えています。その後、佐々木総長から小宮山宏総長にかわり、私も常勤の理事は体調の関係から途中で退かせていただいて、総長室顧問として仕事をしています。

◆法人化は第三の創業―第一の創業から130年

今回の法人化は、東大にとって第三の創業であることをお話しました。1877年、開成学校と医学校が合体して、帝国大学として発足したのが第一の創業です。第二の創業は戦後、新制の国立大学として、国が管轄する一機関としてスタートしたことを指しています。そして、2004年の法人化が第三の創業です。国の機関からは切り放して独立採算でやれということで法人化され、かつての国鉄や電電公社に近い形になったわけで、場合によっては倒産もありうるということですから、それくらいの緊張感を持ってやらなきゃだめだと、職員や教員に言ってきました。

さて、第一の創業である1877年から、ことしは130周年という節目を迎えます。記念事業をどういうコンセプトでやっていくかということですが、法人化して初めての周年事業であり、いろんなことの起爆剤になるように使っていこうと考えています。新しい東大の姿を人々に伝え、かつての国の一機関から一つの独立した存在として、社会とパートナー関係になっていくような形に変わろうとしていることを伝えたいのです。

◆時代の先頭に立つ責任と勇気

お配りした「Action Plan」を見ていただきますと、六つの分野が書かれています。「こんなにやるのかや」と驚きの声を聞きますが、「時代の先頭に立つ」ことを東大の目標にして、引っ張っていこうじゃないかということです。先頭に立つ責任と、先頭に立つ勇気を東大として持っていこうじゃないかと、大学挙げて懸命に取り組んでいることを、ぜひ知ってほしいと思います。

◆激しい海外とのトップ争い

現在の東大は、国内での競争というよりは、海外の一流大学との競争、殊にアジアの中でのトップ争いが熾烈になっています。いろんな評価機関がありますが、その中で、ずっと引き離していた北京大学と最近では一進一退で争っています。サイエンス、テクノロジーの分野では、東大はまだ十指に入っており、非常に高い評価を受けていますが、全体としてみると、まだまだ厳しい分野があります。一方いまだに950億円の運営費交付金を国からもらっていますから、社会からの負託の重さを再確認する必要があります。

ホームカミングデイの機会に現在の東大のありのままの姿と今後の方向を、皆さんにお伝えしたいと考えています。今年度は130周年の記念として、各種シンポジウムを全部で130やろうとしています。さらに、海外への発展として、「プレジデンツ・カウンシル」というものを考え、40名ぐらいの海外の知識人や教育者、経済人に入っていただいて、東大のあるべき姿などを議論していただこうとしています。

また「知のプロムナード」と名づけた130ほどのモニュメントをつくって、そこで学生同士が話し合うほか、学生と教師が話し合ったり、外部の方とも話し合える場をつくり、先輩・後輩の交流もぜひ実現していきたいと考えています。

◆駒場寮跡に交流プラザ

例えば、駒場の駒場寮は、紛争のときには大変な場所だったのですが、10年がかりで取り壊すことができて、その後に、コミュニケーションプラザを立ち上げました。これは、駒場寮が持っていた機能をコミュニケーションの場として、現代的な形でつくりあげようというもので、真ん中には芝生がきれいに植え込まれ、学生たちがコミュニケーションを交わす場として使えるように配慮されています。

去年の10月、卒業生に来ていただいてホームカミングデイをやったのですが、そのときに130周年記念事業の発足式もやりました。それを出発点にしまして、いろんなことを考えています。

例えば、今の学生は専門性が強く、かなりしっかりした勉強をするのですが、全般的・一般的な知識が不足がちになるため、「学術俯瞰」というねらいで、駒場のうちにいろんな方面の知識を身につけてもらういわゆる理想の教養教育を立ち上げようとしています。入ってきた学生には、全員にITと英語をシャワーみたいに浴びせて、当然のスキルとして身につけてもらい、多方面の知識を駒場のうちに会得できるチャンスをつくろうとしています。

◆山中寮に国際セミナーハウス

山中寮も相当に古く、木造の、山村の分教場みたいな建物なのですが、あの寮のよさ、つまり学生が合宿をして、教師と語り合う場は残しながら、かつ近代的なものにしたいと、あの中に国際セミナーハウスをつくり、外国人の研究者も招いて、合宿で研究を語り合えるようにします。同時に、その外に分散型の合宿施設をつくり、じっくり友人関係をつくり上げるとか、師弟が泊まり込んで話し合えるようにしていきたいと考えており、これも周年事業の一つになろうと思います。

130周年の記念式典とホームカミングデイは、今年の11月10日(土曜日)に、卒業生を招いて行う予定です。この前後、日中学長会議に60名ぐらい中国の学長が来られたり、先ほどの「プレジデンツ・カウンシル」の人たちも来ます。初めは、天皇陛下もお呼びしたらなんていう声もあったのですが、国立大学ではなくなりましたから取りやめました。ほかにもいろんなことを考えていますので、ぜひ記念すべき日として皆さんに覚えておいていただき、母校を訪問していただきたいと思います。

◆ノーベル賞受賞者も招いて…

アイデア段階ですが、盛大な式典はもちろんのこと、いろんな人の話を聞ければと考えています。東大出身のノーベル賞受賞者で現在生きていらっしゃる、江崎玲於奈さん、大江健三郎さん、小柴昌俊さんなどに来ていただいて、当時の思いとか今後の東大への期待とかを語っていただくのはどうでしょうか。東大は、ノーベル賞の数は京大と同数ですが、我々が誇りに思っているのは、佐藤栄作さんは政治、川端康成さんや大江さんは文学、そして理学部の江崎さん、小柴さんというように、いろいろな分野の方がノーベル賞をもらっていることです。

また、NHKの協力を得て、東大の歴史を映像でつづってみたいとも考えています。できたらDVDにして、皆さんに記念品としてお渡しできればと思っています。

◆卒業後50年目の人招待を

レセプションでは、どのくらいの方が来てくれるかにもよりますが、園遊会かレセプション形式で、とにかく一杯飲めるような場所をつくりたいと考えています。アイデアとしては、卒業後50周年の方の招待です。慶應、早稲田でもやっており、本当は50年以上の人もお招きしたいのですが、人数が多過ぎるのと、全員のアドレスを把握していないので、取りあえず、50年目の人を招待してはと考えています。

ほかに、東大で発明したロボットなどを見ていただくとか、今、どんどん建物を建てているので、これらを見て回るキャンパス・ツアーなんかも考えています。

去年のホームカミングデイのときに、台湾の同窓会の人が来られました。逆に、神奈川と埼玉の銀杏会の方がグループで台湾を訪問して、台湾同窓会と懇親会をやったこともありました。海外の同窓会も、ニューヨーク、北京、上海、バンコク、パリなどでつくりつつありますし、ソウルにもできていますので、互いに交流して楽しんでいただけたらと思います。

今年のホームカミングデイは、私ども主催側として、よりしっかりやりたいと考えています。大学、学友会はもちろん、いろんな同窓会の代表の方にも集まっていただき、知恵を借りながらやっていこうと思います。

今年は130キャンペーンの仕上げの年になります。東京大学基金は、フレッシュ・マネーでは苦戦していますが、こういうものを使ってくれよと言って、建物その他の申し出もございますので、何とか目標の130億円を達成できそうな見込みとなりました。皆様におかれましても、引き続き今後のご協力をよろしくお願いします。

◆学友会の三つの課題

それから、東京大学学友会という緩やかな連合組織をつくり上げましたが、今年はこれを三つの意味で発展させたいと考えています。

一つは、組織化をもう少ししっかりやることです。今、8万人がようやくつかめてきましたが、その人たちを各地域の組織からだんだんに積み上げて、代議員を選び、代議員から幹事、幹事から役員を選び出すという形で、組織化をめざします。今までは中間の仕組みが欠けていて、トップはトップ同士で決め、その下に皆さんが集まっていたのですが、今年はそれを改めていきたいのです。

二つ目は人事です。会長は当面、現役の総長がつとめると決めて、佐々木毅会長、小宮山宏会長の順でお願いしてきましたが、真の意味の同窓会ならば、大学人ではなくて、学外の方になっていただくべきじゃないかということも含めて、検討していきたいのです。さらには、「東京大学学友会」という名称も一般的過ぎますので、慶應の「三田会」とか早稲田の「稲門会」とかに倣って、個性のある名前に改めたらと考えています。

三つ目は、会の財政をしっかりさせることです。入学もしくは卒業時の学友会(広義の東大コミュニティー)参加の際、入会金を満遍なくいただくほか、会員のお気持ちがあれば随時、寄付金もいただくという線でどうかなどと考えています。

◆ホームカミングデイにどうぞ

駆け足でお話ししましたが、東大はとにかく変わってきています。変わった姿を皆さんに知ってもらおうと、130周年の記念事業をやっていますので、11月10日のホームカミングデイに、一人でも多くの方においでいただけましたら、私どもとしては、非常に光栄に思います。

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淺野 道子(S35経) 寄稿 さようなら白銀女子寮

さる6月9日、東大在学中の4年間住み慣れた白金女子寮(港区白金台)を、50年ぶりに訪れた。当時、起居していた木造二階建ては「旧寮」となり、鉄筋造りの「新館」の隣で、深い緑に覆われていた。聞けば、新館ともども近く廃止され、移転が決まっているとか。青春の一ページが切り取られる思いに、胸内で「さようなら」とつぶやいた。

当日は、寮開設から18年間、寮母をつとめられ、この3月に亡くなられた藤井偕子さんの「偲ぶ会」が、寮近くの料亭で催され、藤井さんにお世話になった123名の中の34名が、各地から参加された。

昼食をとりながら懐旧談に花を咲かせた後、ぶらぶら歩きで寮に着くと、40名ほどの在寮生が出迎えてくれた。歓談の間、木立の奥に見え隠れする旧寮のたたずまいは、それぞれの胸に往時を甦らせるに十分で、思い出話に声をはずませていた。

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白金女子寮は昭和28年、駒場での教養課程在籍者を対象に開設された。平屋建てだったが、本郷への進学者も収容するため、31年に二階建てに増築され、二人部屋の13室(定員26名)ができた。

この年に入学した私は、年ごとに同居の相手が変わるので、計4名と暮らしたが、いずれもまぶしいほどの個性に満ちあふれ、強烈なインパクトを受けた。この寮から巣立った先輩、同僚、後輩の中から、日本を代表する学者、政治家、経営者、裁判官、公務員などが多く出たのも当然のことと思う。

入寮したころ、周辺はお屋敷町で、武蔵野の風情を感じさせる桜林に囲まれ、東京にいることを忘れさせてくれる別天地だった。テレビもなく、共同風呂も毎日とはいかず、自前のカーテンで仕切ったスペースに、一畳分のベッドと机という生活だったが、寮費は平日の食事代も込み(日曜日は自炊)で月1,700円。週2回の家庭教師のアルバイトは、4,000円の料金はともかく、家庭的な「夕食付き」が魅力だった。

東大が女性にも門戸を開き、女性の卒業生でつくっている「さつき会」も、会員数1,500名を超え、各界で幅広く活躍しているが、白金女子寮はまさに、戦後女性の発展の原点だったといえる。

母子家庭育ちの私にとって、この寮がなければ今日の自分はなかった。三人の子連れで住み込み、親身に相談を受けていただいた寮母はもちろん、生き方を同じくする同性にも初めて出会い、終生の友を得た。

白金女子寮は消えても、私たちの心には永遠に残る。白金寮よ、ありがとう! そして、さようなら!

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鉄筋造りの白金女子寮新館

木々に包まれた白金女子寮の旧寮


恒例 東海銀杏会ゴルフ・コンペ

大西さんが優勝!!

平成19年4月28日(土)、ベルフラワー・カントリー倶楽部で東海銀杏会ゴルフ・コンペが開催されました。上はS25年卒の小森保男氏から下は57年卒の満渕茂樹氏、猪子恭秀氏まで19名が参加し、和やかにゴールデン・ウイークの初日を満喫しました。アウトでは、清水順二事務局長が40の好スコアで飛び出しましたが、上がってみると、ダブルぺリアのハンデに恵まれて、私がグロス99にもかかわらず、望外の優勝に輝きました。清水事務局長も85のベスト・スコアに輝きました。

私は月1ゴルファーですが、シーズン初めに幸先よいスタートを切れたお陰で、その後の旧通産省の同期ゴルフでも優勝して、今年は充実したゴルフ・シーズンを過ごせるのではないかと密かに期待しています。

当コンペは、毎年4月下旬に開催されています。丁度、ゴルフ・シーズンの幕開けに当たりますが、他のコンペと調整して、是非とも多数の方に参加いただけますようお願い致します。

大西 正一(S50法)

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寄稿歓迎! 編・集・後・記

鬱陶しい日々が続いていますが、諸兄姉にはお変わりございませんか。

今号は、講演録2本を収めましたが、小山支店長は直後に、農林中金総合研究所顧問へ転出されましたので、置き土産となりました。浅野さんからの投稿は、まことに貴重で、写真も添えていただき、ふくらみのある編集ができました。深謝の限りです。

会員からの投稿歓迎。宛先は東海銀杏会通信の題字下事務局か、tsunoda.usio@nagoya-dome.co.jpへ。 (角田)

予告
次回の秋の例会は9月25日(火)です
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