東海銀杏会通信 No.10 |
発行日:H14.2.8 発行人:東海銀杏会 編集人:藤村 哲夫 |
(各記事の最終部分にあるをクリックすると、この目次まで戻ります)
平成13年度 秋期例会報告 |
代表幹事・広報委員長 藤村哲夫(29工)
|
H13年度 秋の講演 中部ビジネスモデル〜体験論的仮説提示〜 |
中部経済産業局長 市川祐三(44法)
|
![]() 市川祐三氏 |
1.中部地域の経済活動の特色とその背景 卓越した「ものづくり」競争力の強さとその源泉 この地域はバブル崩壊後も、一貫して全国を上回る生産水準を持ち、昨年夏バブル期を越え、昨年12月には歴史上最高の生産水準を持つ。近年、一貫して中部地域の対前年全国シェアは上昇していて、いづれ東京圏を抜くだろう。(図1、図2参照) 2.中部地域経済のパラドックス 最近いわれている市場主義経済の原則は、いうまでもなく徹底した競争を通じて効率性を追求することにある。その際企業という枠にとらわれずに、労働と資本という生産要素の移動が容易に行われることが、効率性を高める上で、不可欠であるとするのが市場主義経済の原則である。これに対し、中部地域の経済は激烈な競争が行われてはいるが、資本、労働とも企業の枠を超えて移動せず、「一所懸命」である。しかし、この中部地域経済が、わが国で最も高いパーフォーマンスを示しており、これは市場主義経済の論理からすればパラドックスではないかと思う。その原因は”ものづくり”の性格にあるのではないかと思う。徹底した効率性を追及は必要であるが、ものづくりの分野では、技術、ノウハウの蓄積も大切である。したがって中部地域の経済のありようは、効率性という短期的課題と技術を蓄積するという中長期的課題を同時に達成できるという意味では、市場主義経済の限界を克服しているといえる。ものづくりの分野では、一つの中部ビジネスモデルと評価できるのではないかと思う。 3.将来への懸念 その中部経済モデルについて、いくつかの懸念もある。 4.東欧で思ったこと 私は1989年から92年までの3年間ウイ―ンに駐在した。東欧諸国の情報収集が仕事であり、東欧革命に際し、様々な体験をした。チェコなど戦前はわが国より工業力は上回っていたのに、何故崩壊したのかを考えた。そして、ことがらの本質は資本主義が社会主義より優位というより、システム自身の問題であるとの結論に達した。 5.わが国経済の今後の取り組むべき課題 近隣諸国の追い上げもあり、単純な資本投下による生産は限界になるのではないか。資本投下だけでは駄目。資本はインフラの整っているところへはどこでも出かける。資本がかつてのように、貴重なものでなくなってきている。残された手段は、資本投下については選別的、重点的に行うことが大切。クリエイティブな付加価値をつけるため文化生活での力をそそぐことが必要。今後強調したいのは、企業の持っている活力を最大限に活かしてもらうこと。それにはさまざまなインフラ整備とか、規制緩和を行うとか、制度を改めるとか、あるいは社会的コストを社会と企業との間で負担をみなおすことが必要。さきにも述べたとおり、資本と労働との結合関係はもう少し弾力化、流動化する必要があると思う。一所懸命の中部モデルと矛盾するが、今後の流れの中では、その方向に行くべきだと思う。 文中※1 ROE=Return on equity,株主資本利益率
|
東京大学同窓会連合会・幹事会報告 |
常任幹事 松林正之(41農)
|
平成13年12月6日(木)18時30分から学士会館分館で東京大学同窓会連合会幹事会が開催されました。 東海銀杏会から私が出席しました。主要なところのみご報告します。(お問い合わせは東海銀杏会事務局まで)
(2)21世紀記念事業について (3)全国地域組織統合会員名簿の編集について (4)会員の拡大について
この意見交換会は、同窓会として母校にどんな貢献ができるか、大学から何を期待されるかについて、忌憚のない意見交換をおこなうという主旨で開催されたものである。 連合会側から地方同窓会と連合会の組織化の状況報告があり、卒業生名簿整備の進め方が話し合われた。大学側からは、留学生支援に対する同窓会への謝意と日本人学生も含めた学生生活の実態が披露され、最近の学生の学力低下とその向上策が議論された。 21世紀記念事業として考えられている「ホームカミングデー」に於ける大学OBの関わり方について議論され、今後も意見交換をおこなうことになった。 大学病院の新病棟の披露、運動部の活動への期待、災害救援ボランティア活動の推進、他大学との人材交流、日米の定年についての考え方の差、ノーベル賞とロビー活動など多岐ににわたって意見が交わされた。 最後に、2年後の「独立行政法人化」を巡る大学経営の在り方についても真剣な議論がおこなわれ、同窓会としてもできるだけの協力をすることを申し出て閉会した。 年に一度程度、意見交換会を持ちたいという双方の意向である。 (この日は、東海銀杏会総会に当り、東海銀杏会からは出席していない)
同窓会連合会が主体となって全学同窓会に呼びかけ、大学当局の協力を得て、学内の諸設備の見学会、講演会等をおこなう。その実行委員会に各会から1名企画委員を派遣してもらいたいと要請された。
日 時:平成14年3月9日(土)13:30〜17:00 場 所:鹿島KIビル(赤坂) テーマ:パネル討議「21世紀、国際社会における日本の在り方を考える」 出席を希望する方は、詳細を東京銀杏会に問い合わせのこと。 東京銀杏会としては、今後、各同窓会との共催も希望している。
開催日時:平成14年6月8日(土)13時より 内 容:総合研究博物館見学 講演会(講師:佐々木毅総長) 懇親会(17時頃より) 場 所:本郷キャンパス なお、第2回以降の予定は次の通り 第2回 2003年 駒場キャンパス (構内見学・オルガン演奏) 第3回 2004年 柏キャンパス (構内・検見川薬用植物園他見学) 第4回 2005年 富良野(北海道演習林見学) 第5回 2006年 弥 生(農学部・小石川植物園見学)
|
新同好会 ぞくぞくと誕生! |
「新企画委員会」が発足し、積極的な取り組みを開始しました。 メンバーは、藤村哲夫(29工)、池澤宏郎(33薬修)、吉村脩(35経)、磯部克彦(36法)、木戸泰明(42工)、清水順二(49工)、田中茂義(54工)、嶋田晋(57工修)、増田康裕(56経)の諸氏です。メンバーのご尽力によって、新しい同好会が次々に誕生しました。まだ、この他にもみんなで一緒に楽しむ事柄がたくさんあります。 新企画委員会に参加して頂ける方がありましたら、お申し出ください。
◆第1回施設見学会「トヨタ産業技術記念館」 |
![]() 上記写真は第1回施設見学会での風景 |
新企画第一弾として、「トヨタ産業技術記念館・見学会」を10月6日(月)に開催しました。当日は秋の晴天に恵まれ、さわやかな雰囲気の中での見学でした。参加人数は7名で、それほど多くはありませんが、トヨタ自動車の久山大三さん(54法)のはからいで、副館長の近藤さんから丁寧な説明を受けることができました。 |
◆第2回施設見学会「ノリタケの森」ご案内 第2回は「ノリタケの森」の見学会をおこないます。「ノリタケの森」は?ノリタケカンパニーリミテド(元日本陶器?)の発祥の地です。広大な敷地に芝生を敷き詰めた、ゆったりした公園で、その中にウエルカムセンター、クラフトセンター、ノリタケミュージアム、ノリタケの森ギャラリー、レストランの施設や古い煙突や窯などがあって、自分で画付けも楽しめる施設もあります。名古屋駅に近くて見学者も多く、見学者からは高い評価を得ています。当日は、藤村哲夫氏(29工・元日本ガイシ)のはからいで、ノリタケの森の方からのお話も聞くことになっています。ぜひ、ご参加下さい。
この会は、この地方出身の三英傑、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康のゆかりの地を訪ねる会です。今後は、年2回位のペースで実施する予定です。 ◆第1回「信長出世の足掛かり」 第1回は織田信長の出世の足掛かりとなった遺構を見学します。 ◆第2回「信長の岐阜侵攻」 第2回は10月頃、墨俣、岐阜城などを訪ねる予定です。
連絡先:藤村哲夫(29工) 電話・FAX:052-832-4556 E-mail:fujimura@bd.mbn.or.jp
|
囲碁同好会 三木会 |
斎藤 勉(49法)、藤村哲夫(29工)
|
![]() 奥村プロの三面指導碁も |
会員数40名を超え、対局会もますます盛んに
囲碁同好会「三木会」は、所裕幹事(32法)の献身的なお世話と、長谷川秀曼、岡田啓作幹事のご尽力によって、たいへん活発になりました。第3木曜日に「アミューズメントなつめ」でおこなっている毎月の例会の出席者は10名を越えています。 例会日:毎月第三木曜日、17時より、三々五々集合 会 費:5,000円(飲み放題・うち当面の運営費1,000円)、軽食(500円) 会 場:アミューズメントなつめ(栄グリーンビルB1) TEL:(052)241-2308 幹 事:所 裕/TEL(052)231-7851・(社)名古屋銀行協会 長谷川秀曼/TEL(052)872-0551・(株)ニートレックス 岡田 啓作/TEL(052)914-8222・(株)啓文社
|
東海銀杏会ゴルフ同好会 第4回 ゴルフコンペ開催 4月21日(日)ベルフラワーC.C.にて |
世話人: 久保田 勲(40法・旭硝子) TEL. (052)583-2872 松林 正之(41農・大成建設)TEL. (052)562-7520 ゴルフコンペもますます好評を博していて、参加者は第1回15名、第2回27名、第3回30名と回を重ねるごとに増えています。 ■日時/平成14年4月21日(日) スタート時間は案内状に記載 ■場所/ベルフラワーカントリークラブ (昨年と同じ) 岐阜県瑞浪市日吉町8671-1 TEL. (0572)64-2121 ■申込/登録メンバーの方には、直接ご案内致します。 未登録の方で、案内をご希望の方は下記までご連絡下さい。 連絡先:松林正之(41農、大成建設名古屋支店) FAX(052)562−7518
|
地域同窓会紹介 発展を目指す福岡銀杏会 |
福岡銀杏会事務局 本郷 譲(54法)
|
●発足の経緯 福岡銀杏会は、東京大学同窓会連合会よりの「改革の時流の中で、国立大学の独立行政法人化を見据え、東京大学同窓生のパワーを集結する場をつくりたい」との呼びかけを受け、当地福岡県において、東京大学同窓生同士の交流や、大学との情報交換の場を提供していくことを目的として、平成11年7月に発足しました。 ●活動概要 福岡銀杏会では、会員の皆さまに年齢や業界の枠を越えた情報交換や交歓の場を提供すべく、総会と同時に講演会及び懇親会を開催しています。 平成11年7月:「東京大学の現状と今後」 ●今後について 福岡銀杏会の活動を通じて、同窓生の交流がより深まるよう、活動そのものの充実と共に、会員数の増加を図りたいと考えています。
|
東京大学の沿革 その6 |
藤村哲夫(29工)
|
戦時下の東京帝国大学
新思想と大学 第一次世界大戦後、大正デモクラシーと呼ばれる新思想がわが国に入ってきた。 戦時体制への対応 戦時体制の強化に応じて、本学の学部・学科および研究所の創設・再編がおこなわれた。 軍部と大学 軍部の学校への関与は古くからあった。 学徒出陣 昭和18年10月から学生に対する徴兵執行猶予が停止された。続いて、昭和18年12月に徴兵年齢が20歳から19歳に切り下げられた。理工系学生は入営延期が認められたが、徴兵年齢に達した文系の学生は、学業半ばにして戦場に駆り出されることになった。
|
「渡航移植へのご支援 ありがとうございました」 〜米国での心臓移植 結果と経過のご報告〜 |
名古屋大学 島田俊夫(45工修)
|
米国で心臓移植を終えて無事に帰国しました。振り返ってみますと、2000年9月に病状が悪化したため補助人工心臓を付けて国内での心臓移植を待ったのですが、国内では年間数例しか心臓の提供はなく、移植を受けられる可能性は殆どない状態でした。そのため渡航して移植手術を受けようと決意しました。 非常に多くの方が支援してくださったおかげで2001年6月26日に渡航することができ、8月4日に移植を受けました。術後の経過は特に問題なく、10月30日に帰国いたしました。移植にいたるまでの間に何度か死の危機がありましたが、その都度乗り切ることができたことは大変幸運だったと思います。 1年2ヶ月ぶりの自宅はとても懐かしく、生きて帰ってきたことを大変嬉しく思いました。その後も拒絶反応や感染症はなく、無事にお正月を過ごすことができました。 ここまで来ることができたのは、東海銀杏会の方々をはじめ非常に多くの方々の協力を得られたためで、心からお礼申し上げます。 新聞やテレビでは殺伐としたニュースが多いのですが、現実はこんなにも多くの心温かい人々が存在することを嬉しく思います。 外国人の患者を受け入れ、心臓を提供してくれる米国の寛大さに改めて感謝したいと思います。 また年間2000件を越える心臓の提供がある米国の現実を素晴らしいことと感じました。日本では年間数件の提供しかなく、大部分の待機患者の方々が亡くなられています。 死に当たって他人の命を救うという最高の愛のプレゼントが今後増えて行くことを願い、一日一日を感謝して生きたいと思います。
|
事務局だより |
水野秀昭(49工)
|
若い世代を中心に輪を広げていこう 私が東海銀杏会にかかわるようになって、本年は15年目になります。東大に全学同窓会を作ろうという銀杏会活動は1987年に始まったそうですから、その歴史のほとんどを伴にしてきた事になります。自分としてはずいぶん長い間、それもどっぷりと漬かってしまって、そろそろ手を抜かしてもらっても良いのではと思っているのですが、会の中では相変わらず若手の方で(50歳なのに)、将来を託されている(?)という立場は一向に変わりそうもありません。 同窓会というものの性格上必ずしも若い世代が中心になる事はないのですが、新しい人にもっと参加してもらって、今後の役割を担ってもらうことが出来ないものかと考えるこの頃です。 さて、人生の尺度から見ればそこそこの歴史を持つ東海銀杏会活動ですが、百有余年の東京大学からするとやっと始まったところ、というよりもまだまだ産みの苦しみの中にあります。 将来、東京大学同窓会連合会が同窓会本部とでもいうべき組織に発展し、十分な財政基盤と全同窓生の名簿管理システムを持てるようになれば、我々地方組織は行事活動にのみ専念できるようになるでしょう。ただ、現状においては各地方組織ごとに同窓生を把握し、会費納入をお願いして独自の活動財源を確保していかなければなりません。 そんなわけで、今年も会員増強を主たる目標のひとつとしてまいりますので、お近くに未加入の同窓生がおみえでしたら、事務局まで進んでご紹介ください。皆様方のご理解とご協力を切にお願い申し上げます。
|
編・集・後・記 |
|
東海銀杏会通信は、一つの節目として、第10号の発行に至りました。ご協力いただきました皆さまに心から感謝致します。 とくに、毎回、講演から「テープ起こし」をして、その要旨を所定の長さの記事に纏めて頂いています広報副委員長 淺野道子さんのご苦労に感謝しています。ご本人は「楽しみながらやっていますよ」と言っていますが、名古屋市在勤中に講演や会議の記録纏めなどで鍛えてこられた腕前の発揮と敬服しています。 島田俊夫先生の米国に於ける心臓移植が成功されましたことを心からお祝い申し上げます。お礼状にあります日米の一般市民の医療に対する貢献の在り方の差に心をつまされる思いがしました。最後の文の「自分の死に当って他人を救うという最高の愛のプレゼント」に心を打たれました。とはいっても、苔むした私の心臓は誰にも受け取ってもらえないと思いますが。 新企画委員の精力的な貢献によって、新しい同好会がぞくぞく生まれつつあることは、たいへん喜ばしいことです。これらが、ますます発展することを祈念しています。それには、なんといっても参加者が多いことです。時間の許す限り、できるだけ多くの方のご参加をお願い致します。参加だけでなく、新しくつくる方にもご協力下さい。 既存の囲碁、ゴルフ同好会も、新発足の同好会に負けないように、お世話役のみなさんのご尽力によって、ますます発展の方向に向かっています。総会、例会だけでなく、このような周辺の盛り上がりが全体を盛り上げる力になります。お世話役のご苦労に感謝します。 淋しいことは、本号にみなさんからの随想などの寄稿がなかったことです。前号の小玉俊一さんの「開業・雑句薔薇蘊」は大好評でした。みなさんの気楽なご寄稿をお待ちしています。 世の中の景気は一向に好転する兆しがありませんが、私たち一人ひとりは、明るく元気にこの一年を過ごしましょう。
|